【中学生の漢字】《朱》:「朱」が赤色を表すのは何で? 

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【朱鷺】
突然ですが、これでなんと「トキ」と読みます。


「トキ」は新潟県の県鳥(その県のシンボルとなる鳥)で、薄桃色をした鷺(サギ)に似た生き物です。

 

私は神奈川県生まれで京急沿線に住んでいたので、京急バスの後ろにこの漢字がでかでかと書いてあったのを覚えています。
(確かなことはうろ覚えなのですが、朱鷺というお米の広告だったように思います。)

 

トキはこれとは別に「鴇」「桃花鳥」といった漢字があります。

また面白いのが【紅鶴】のような書き方もあり、その名の通り「鶴」に似た「紅」い鳥であると漢字で示されています。

 

当時、鳥の分類などが知れ渡っていなかった頃には、朱鷺を鷺の仲間だと思った人もいれば、別のところには鶴の仲間だと思った人もいたのかもしれませんね。

ちなみに朱鷺は「トキ科」です

アイキャッチ Alexas_FotosによるPixabayからの画像 


というわけで今回は「朱」という漢字を見ていきます。

 

 

「朱」ってどんな漢字?

杉Free-PhotosによるPixabayからの画像 

 

「朱」は6画の象形文字です。(象形文字が分からない方はクリックしてみてください)

 

「朱」は木の幹の部分に記号(点)を入れることで、木の幹の中心部分を表しています。
この場合の中心部分とは、木を縦に見たときの中心ではなく、木を切ったその断面の中心を表しています
つまり木が切り株になっている状態ということです。

 

このことから「朱」にはもともと切り株という意味がありました。

 

http://www.dl.is.ritsumei.ac.jp/Shirakawa/search/gallery-images/U+6731_kinbun-1.svg

「朱」成り立ち金文1】(金文が分からない方はクリックしてみてください)

 

「木」のページにて、「木」には幹の部分がないということを書きました。
しかし、成り立ちを見てみると当時の「木」は上部(枝)と下部(根)が離れていることが分かります。
そのため、「朱」の成り立ちにおいて、幹の中心部分が表されていることは不思議なことではないのです。

 

 

書き順

書き順で確認してみると3画目が木の幹の中心部を表す線であるといえます。

『新明解現代漢和辞典』では、3画目を除いた部分が「=(木)」であるという説明がなされています。

「未」という漢字では上側の線が新しく伸びてきた枝でしたが、「朱」の場合は上側の線がもとからある「木」の線ということになるのです。

 

なんで上に点をつけたんだろう?

「木」の成り立ちの名残という場合と、「未」と区別するためという2つの理由が考えられるね

 

 

木材PexelsによるPixabayからの画像 

 

「朱」をつくりに用いる漢字としては「株」「殊」「珠」「誅」「銖」など様々あります。しかしこれらの漢字はほとんどが「シュ」という音を用いるために、「朱」を組み合わせているのです。

 

しかしそのような中でも株」は「朱」が朱色のことを表すようになったことから、これに木へんをつけ、新たに木の株を表す文字として成立した漢字です。

 

また「殊」など「朱」の切り株の意を用いている漢字もあります。気になる方は是非チェックしてみてください。

赤色という意味の「朱」

「朱」が切り株の中心部であることは先に述べた通りです。

 

「朱」のもととなった木の種類には諸説ありますが、主に「柏」「松」を表すようです。
「柏」や「松」の断面はほんのりオレンジ色を帯びており、その中心に近づいていくにつれて赤みを帯びていきます。

このことから「朱」は赤色を指すようになりました。


しかし実際に切り株を見てみると、その色は赤というよりはほとんどオレンジ色に近く朱色という印象は受けません。


このことに関して以下に『常用字解』における白川静先生の説を載せておきます。

ほかにこのような記述は見当たらないのですが、現在私たちが認識している朱色はここからきていると思われます。

 

朱は朱砂(水銀の硫化鉱物)を固めて薫蒸し(いぶして蒸し)、水銀を分離する方法を示す字である。朱色は水銀からとられたのであろう。

 

つまり、成り立ちから考えて「朱」が切り株の色から来ているのは間違いないようですが、朱色という色自体は銀からとれた別の色から名付けられたものであるということになるのです。

木の皮Nicole KöhlerによるPixabayからの画像 

 

赤系統の色を表す漢字は大変多くありますが、その濃さは以下のような順番になります。

 

「桃」→「丹」→「赤」→「朱」→「絳」

 

朱色は赤にオレンジ色が混ざったような雰囲気があります。
しかし意外にも朱色は赤色よりも濃いということが分かります。


それを示すことわざとして【朱に交われば赤くなる】があります。
朱を少しでも垂らせば赤みを帯びるといった意味の通り、朱はそれだけ強い色だということが分かるのです。

 

ずっと朱を垂らし続ければ赤になって、いつかは朱色になっちゃうってことだね

そういうことだね! そうやって自分なりに解釈することはとてもいいことだよ

 

まとめ

  • 「朱」は6画の象形文字。
  • 「朱」は木を切った時の断面の中心を表している。このことから切り株を表すようになった。
  • 「株」は「朱」が朱色を意味するようになったため新たに作られた漢字。
  • 「朱」が赤色を意味するのは、切り株の中心が赤いから。
  • 「朱」は「赤」よりも濃い。

 

切り株が赤っていうのはやっぱり覚えやすいな!

 

おわりに

きとねこThomas B.によるPixabayからの画像 

 

「朱」から派生する漢字は形成文ばかりであることから、比較となる漢字が少なく今回は物足りない記事になってしまいました。
申し訳ありません。

 

そこで少し豆知識をひとつ。


下のやまもととめいちゃんの会話に登場している「朱欒」の「欒」の字は「ラン」と読みます。
「欒」これは中国に生えている「木患子(ムクロジ)」科の落葉植物なのですが、この「木患子」の実はなんと数珠の玉になるそうです。

そのため下のように知識をつなげていくことができます。

 

「朱」→「朱欒」→「欒」→「木患子」→「珠」

 

「珠」は形成文字であり、「朱」とのつながりは薄いかもしれません。

しかし漢字自体につながりはなくともこのように、間に何かを挟むことは可能です。
このように考えていけば「朱欒」や「木患子」も覚えられて、一石三鳥にも四鳥にもなるかもしれませんね。

 

というわけで今回は「朱」という漢字を見ていきました。
ここまで読んでいただきありがとうございます。ではまた次の漢字で!

 

「朱」を使った漢字には「朱欒」などあるよ

シュ…ラク?

残念! これは「ザボン」と読むよ。ミカンの仲間だね

猫に柑橘系はNGです!

参考資料

別表 学年別漢字配当表:文部科学省

都道府県:林野庁

「白川フォント」

 

 

 

 

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