【小学五年生の漢字】《枝》:「枝」は木のどこを指す? 「枝」も「条」の意外な関係とは?

この記事では小学5年生の配当漢字「枝」について紹介しています。

「枝」は具体的には木のどの部分を指すのか、「枝」と「条」の意外な関係など、漢字の構成やなりたちから解説していきます。

 

興味があればまえがきもご覧くださいね

 

f:id:nao-yamamoto:20191013164030p:plain

 

 

まえがき「枝折」

f:id:nao-yamamoto:20191013175543j:plain

「枝折(しおり)」は読みかけの本に挟む紙などをさし、一般的には漢字で「栞」のように書きます。 


現在でこそ本に挟む紙を「しおり」といいますが、このことばはもともと森や林を通るときに、行く先々の「枝」を「折」ることで道しるべとしたもののことを言います。これはその後、枝を折るのではなく木を細く削り地面に立てることで道を示す方法へと代わっていきましたが、名残として「しおり」ということばが残っています。

 

現在一般的に使われている「栞」は「幵(ケイ)」と「木」で構成されています。「幵」は「たいら」という訓で、平らにそろえるという意味があることから、「栞」は「木」を細く削り「幵(たいら)」にそろえている様子を表している漢字になります。つまり、「栞」は地面に立てる道しるべのことを指しているというわけなのです。

 

よく遠足のしおりや入学のしおりなどガイドや説明書のことを「しおり」といいます。上の「栞」のなりたちから考えてみると、この場合にいう「しおり」とはつまり本に挟む枝折ではなく、道しるべのことを言っているだということがわかりますよね。

 

ちなみに、新潮文庫や単行本についている紐はスピンといいます。世の中、すべてのものに名前がついているようです。

「枝」ってどんな漢字? 

f:id:nao-yamamoto:20191013164540j:plain

【枝】シ・えだ『常用字解』第2版より

 

さて、今回見ていく「枝」は8画の会意形声文字です。形声文字とは象形文字に音を表す漢字を付けることで新しく作られた漢字のことを言います。「形」に「声(音)」を足しているということです。「枝」の場合は「木」という象形文字に「支(シ)」を組み合わせた漢字であるため、「支」という字が「枝」の音になっています

 

ところで、この「支」という漢字には「えだ」という意味があります。

あれ? 「えだ」は「枝」じゃないの? と思われるかもしれませんが、先に「えだ」の意があったのは実は「支」なのです。

 

「支」は漢字の構成として「十」と「又」が組み合わさってできています。「十」は枝を「又」は右手をそれぞれ象形している文字であるため、「支」は手で枝を持っている様子を漢字にしたものになっています。のちに「本流」と「支流」のように、「本」つまり根の対義語となった「支」は「えだ」そのものを表す漢字となっていきました。

 

ですが、皆さんもご存じのように「支」には「ささえる」という意味があります。この意味は「えだ」よりも後に付いたものですが、「支」は次第にこの意味がメインの漢字となります。そこでえだの意味を独立させ、新たにこれを表す漢字として作られたのが「枝」というわけなのです。

 

なので、「枝」は「支」の音を使用している形声文字ですが、その意味も使用していることから、会意形声文字とする見方ができるのです。

 

f:id:nao-yamamoto:20191013165524p:plain

 

書き順で確認してみるとこのようになります。

 

「枝」は先に「支」を確認することが大切なんだ?

そういうことになるね

  

  

「枝」は幹から「条」は枝から分かれている

f:id:nao-yamamoto:20191013165930j:plain

ところで「枝」は「えだ」という意味を持っていますが、具体的にはどのような枝を指しているのでしょうか。

 

ここでも「枝」のもとの漢字「支」を見てみましょう。

まず、「支」には「わかれる」「枝分かれする」という意味があります。これも「本」に対するようにして発生した意味ですが、枝分かれした川という意味の「支流」や、本部に対する「支部」、自分の財産を分けてお金を出すという意味の「支出」など現在でも使用されていることばに、これは用いられています。

 

重要なのは「支」における「わかれる」という意味は、大きなところから枝分かれしたものを指しているということです。例えば「支流」は大きな川から枝分かれしたものを指しています。神田川は隅田川という大きな川からから分かれた支流ですし、隅田川は荒川という大きな川から分かれた支流です。必ず大きなものから小さなものへと分かれていきます。

 

これを木に置き換えてみると、枝は幹という大きなところから分かれた部分のことを指していることになります。しかし枝は一度枝分かれしてしまえば、その枝をさらに幹に見立てるなどのようにはできません。一度「支」となった枝は「本」となることができないのです。そのため「枝」という漢字は特に幹から直接枝分かれした部分表しています。つまり幹から枝分かれした部分から、さらに枝分かれした先の部分は厳密には「枝」ではないということになるわけです。

 

ちょっといったん待って

整理すると、荒川が幹、隅田川が「枝」だけれど神田川は「枝」ではないということだね

 

そこで、幹から枝分かれした部分から、さらに枝分かれした先の部分を示す漢字としてあるのが「条」です。「条」は現在では「条約」や「条理」などきまりごとといった意味で使用されている漢字ですが、もともとは細長い枝を持っている様子を表している漢字でした。


これにより「条」はとりわけ細い枝、木の末端に生えている細長い枝のことを表すようになりました。細い枝を表すことから、「枝」からさらに枝分かれした先の部分を表すために「条」という漢字は用いられている というわけです。これは漢文の用例などでも確認することができます。

 

つまり?

荒川が幹、隅田川が「枝」、神田川が「条」

 

漢字での区別は上記のようになっていますが、とはいえ現在の私たちは木の末端部分をわざわざ「条」と書いたりはしませんね。

「枝」と「条」はこれらを合わせて「枝条(シジョウ)」という熟語を形成し、えだを表しています。現在の日本ではこの「枝条」を総称して「えだ(枝)」のように用いています。 

なので、現在の私たちはわざわざ木の末端を 「条」と書かなくてよいというわけです。

 

 

「肢」は胴体から指は肢から分かれている

f:id:nao-yamamoto:20191013172230j:plain

「枝」は特に幹から直接枝分かれした部分を指しているという点と、その先の「条」の意味についてもう少し掘り下げてみようと思います。


先ほどは荒川が幹、隅田川が「枝」、神田川が「条」のようにしましたが、今度は幹を人間の胴体、「枝」をてあし、「条」を指に見立ててみるとどうでしょう。ぐっとわかりやすくなったのではないでしょうか。

 

ところで、現在一般的にてあしを表す漢字として用いられているのは「肢(シ)」です。「肢」は「枝」と同じく「支」の音を持つ形声文字で、胴体から枝分かれした手や足のことを指しています。例えば「四肢」といえばてあしを、「上肢」といえば両腕を、「下肢」といえば両足をそれぞれ表します。つまりこの「肢」も枝分かれの意を使用しているのです。


そのため胴体における「肢」が木における「枝」にあたることになります。これは同じ「支」を使用しているところからも想像することができますね。また、「肢」からさらに枝分かれした部分はどうでしょう。これは指にあたります。

この指がちょうど木における「条」ということになるのです。

 

現代のわたしたちは腕や手、指のように自然にそれぞれを区別していますが、てあしといえば意識的であれ無意識的であれ指も含めて考えてしまいます。てあしあるいは腕を描け、と言われればもちろん指まできっちり描くことでしょう。つまり、肢と指の総称が手(腕)や足となり、これが枝条における「えだ」にあたるのです。

 

わたしたちが肢と指を区別しているように、えだは漢字の上で 枝と条として区別されているということなのですね。

まとめ

  • 「枝」は8画の会意形声文字。
  • 「支」にはもともと「えだ」という意味があったが、使われなくなったため「枝」を新たに作った。
  • 「支」には「本」との関係で「わかれる」という意味がある。
  • 「枝」は特に幹から直接枝分かれした部分を指している。その先を表す漢字としては「条」があるが日本では「枝条」を総称して「えだ(枝)」としている。
  • 「肢」は胴体から枝分かれしているてあしのことを指す。

 

「枝条」の関係が本当にややこしいね

 

おわりに

f:id:nao-yamamoto:20191013173807j:plain

今回は「枝」という漢字を取り上げました。わたしはいつも記事を書くとき、一度勉強してから内容を頭に入れ一気に文章を書きあげていくスタイルをとっています。これはひとえに内容に矛盾が生まれないように整合性をとるためであったり、一度書いたことをもう一度書かないようにするためであるなど理由は様々あります。

 

わたしの記事は大体1本4000字弱くらいですので、それでも完成するまでに半日は要するのが現状です。

 

しかし今回の記事はおおよそ3時間ほどで書きあげました。理由は明確です。「支」という漢字の構成やなりたち、「枝」との関係がかなり克明に頭に入っていたからです。そのため、すんなりと流れを作って記事をかけましたし、自分でも理解が深い分かなりわかりやすくお伝え出来たのではないかと思います。

 

このブログを立ち上げてから初めてなりたちや由来を調べた漢字ももちろんあります。「枝」はその一つなのですが、やはり他の漢字と関連させたときの理解力は違うなと改めて思いました。

 

今回の場合ですと「支」→「枝」→「条」→「肢」のような関連性になっています。一見関係のない漢字どうしに見えても意外なところで漢字は繋がっているものです。漢字勉強には知識の連関が大切であると今後もこれをもって、お伝えしていければ良いと思った今日この頃でした。

 

「条」は木の末端を表しているっていうけれど、「枝垂桜(シダレザクラ)」って思いっきり「条」の部分が垂れているよね

条垂桜?

んー、やっぱりピンとこないね。「枝垂れ」って重箱読みだから、日本で作られたことばなのはおそらく間違いないけれど、最初から「枝」と「条」の区別なんてされてなかったのかもしれないね

ジュウバコヨミ?

続きの漢字

「枝」のもとの漢字である「支」は、現在でもつかわれている「本部」「支部」や「本流」「支流」の関係のように対義語となっています。「本」はその他にも「末」が対義語であるなど、簡単な字でありながらなかなか奥深い漢字になっています。是非続きの漢字としてご覧ください。

 


 

参考資料

 

 

 

 

 

当ブログに記載されている内容は、辞書や文献、資料などに遵守し学術的な配慮を十分にしているものですが、万が一誤りがあった場合は早急にご連絡ください。 確認を取ったうえで速やかに訂正させていただきます。 宜しくお願い致します。