【林】意味と成り立ちを詳しく解説!「森」と「林」の違いは?【小学生の漢字】【読み方】

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この記事は
・漢字に興味がある方
・漢字を深く勉強をしたい方
・意味の由来やなりたちを詳しく知りたい方
に向けて書かれています。なるべく専門用語などは使わず噛み砕いて解説しているので、軽い気持ちで覗いてみてくださいね

今回の漢字は「林」だよ

 

 

【林】8画 リン・はやし
①はやし。群がって生えている樹木
②人または事物の寄り集まった場所

今回は以上の意味について解説します。(番号は解説の順番になっています)

 

「林」ってどんな漢字?

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「林」は「木」を2本並べた形

さて、今回みていく「林」は会意文字です。会意文字とは「類」などのように複数の漢字を組み合わせることで、新しい意味を表している文字のことを言います。

「類」は「米」と「犬」と「頁」が組み合わさっていますが、「林」の場合は「木」が2本並んだ構成の漢字になっています。

 

ところで、漢字はそこにあるものが複数ある場合、通常そのものを4つ以下に省略して表します。「森」という漢字であっても森に木が3本しかないわけではありませんよね。それと同じように「林」も木が2本しかないのではなく、たくさんの木がある様子を表しています。

 

「林」が2つの「木」で構成されている理由としては、並んでいるさまを表す「林立」や並んで水滴が落ちる様子を表す「淋」に表れているように、木が並んでいるところを表現しようとした結果であると考えられます。

 

「「林」が「木」を2つ並べた形だなんてわかっているよ!」と思われた方がいるかもしれません。
「林」のほか、「羽」「昌」「弱」のように常用漢字の中でも同じ形が2つ組み合わさっている漢字は多く見られますね。このような2つの漢字が連続して組み合わさっている漢字のことを理義字(リギジ)といい、多くの場合一つの漢字だけでは表すことができない意味を表す役割を持っているといえます。

 

「木」は1本の木の形をそのまま表した象形文字であるため、この一字だけでは複数木があることを表現できません。そのため「林」は複数の木が生い茂っている場所、すなわち「はやし」を表す役割を持っているということなのです。

 

 

「林」の部首は「木」

「林」の部首は「木」です。もはやそれ以外の漢字がないため間違いようがありません。

 

部首は漢字を分類するにあたって最も重要となっている構成要素を指しています。「林」は「木」が複数生い茂っている様子を表す漢字であるため、最も重要な部分は「木」になります。木が無ければそもそも林は成り立ちませんからね。

そのため「林」の部首は「木」ということになるのです。

 

「林」はその後「はやし」など複数の木が生い茂っている場所やそれに関係するものを表す漢字に使用されることになります。

 

「麓」記事鋭意製作中
「禁」記事鋭意製作中

 

ちなみに「麻」は「广(まだれ)」と「𣏟(ハイ)」で構成されています。なかにある「林」のような形は厳密には「林」ではないのでご注意ください。また「魔」「摩」「磨」は部首が「麻」であるため、こちらもなかにある「林」は「林」ではないのです。

 

なんだか最後の情報が一番有益だよ

そう言ってくれるな

 

 

古代の人々は林の周りで生活した

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「はやし」の由来は「生やし」

ところで「はやし」という言葉の由来は「生やし」、つまり「生き物を育てるところ」という意味からきています。

といっても、あまりピンとこないかもしれませんね。

 

例えば、林にある木々が春になって団栗(ドングリ)などの実をつけて落としたとしましょう。

すると冬眠から目覚めお腹を空かせた栗鼠(リス)や鼠(ネズミ)が団栗を求めて集まってきます。栗鼠や鼠が集まると今度はそれらの動物を食べるために小型の肉食動物が引き寄せられてやってくるようになります。

 

一方で、栗鼠や鼠に食べられずに生き残った団栗は根を張り芽を出します。それによって水分を大量に蓄え湿ってくると苔(コケ)や山菜などの植物が生え始めてくることになります。これを求めて今度は草食動物が姿を現し、最終的に大型の肉食動物を森に引き入れることになるのです。

 

このことを食物連鎖といいますが、すべては林にある木々が団栗を落としたことから始まっています。なので林は多くの動植物を育て、生物や水を循環させているということになります。


このようなメカニズムを知っていた人々は、木々が生い茂っている場所を特に「生き物を育てるところ」すなわち「はやし」と呼ぶようになったのです。

 

林は生活を豊かにする

林が動植物を育て、様々な自然を生み出している様子から人々は林に神が住んでいると考えました。

突拍子もない話に聞こえますね。

 

なのでまたまた、団栗の例をもとに考えてみましょう。人々は通常、貴族や役人で無い限り自分たちで畑を耕し、そこから取れた穀物で生活します。ですがもちろん穀物だけを食べているのではありませんでした。

 

木々が生い茂っているところに団栗などの木の実を拾いに行ったり、薇(ぜんまい)や野蒜(のびる)などの山菜、あるいは猪や鹿などの小動物をとることで食卓を豊かに彩ります。

また、落ちている木の枝を燃やすことで暖をとったり食べ物を温めたり、あるいは川や沢、滝から水を確保したりもします。

 

これらはすべて、林から恵まれたものです。

このように動植物を育てる力があり、人々に恵みを与えていくれる林には神が住んでいると考えられるようになり、人々は特に林の近くで生活することで生活を豊かにしていきました。

 

つまり、自分たちの生活を豊かにしてくれる林を祀っていたということなのですね。

 

林は神の聖域

これを如実に表している漢字というのが「禁」にあたります。


「禁」は「林」を「示」すと書きますが、「示」は神を祀るために使う祭卓ことを指しています。つまりお供え物などをのせる机のことです。


このような神を祀る神聖な聖域のことを「禁(キン)」といい、「禁」はとりわけ林を神が住む聖域として祀っていることを表しているといえるのです。

 

後にこの漢字は、林以外の聖域のことも示すようになり、そこに一般の人々が立ち入ることを禁じたことから「禁止する」「とめる」という意味が付け加えられていきました。

 

林が神の聖域だってことを知っていれば、「禁」の意味の由来も覚えられるというわけだね

そうなるね。漢字って思わぬところで繋がってて面白いよね

 

「麓」では山裾で家畜を飼っていた

昔の人々は林の近くで生活していましたが、とりわけ林が多くあるのが山の麓です。このような林のことを「林麓(リンロク)」といいます。

 

「麓」の字は特に木々が生い茂り、山裾(すそ)に鹿苑(ロクオン)があるような場所を指しています。鹿苑とはもともと鹿を放し飼いしておく庭園のような場所を言いましたが、このなかにはまきば、つまり家畜などを飼っている場所のことも含まれています。

 

なので、「麓」という漢字は人々が山裾にある林の周辺に集落をつくり、家畜を飼っていたのだということを字形で表しているのです。

 

そしてこれは、林のそばで家畜を飼っている集落が多くあるような場所を指して、すなわち「ふもと」であることを示しました。

 

このように林と人々の関係性は漢字からも多く読み取ることができるのです。

 

実は「麓」の構成は諸説あります。今回は「林」と関連しやすい説を紹介しました

 

「森」にも「林」にも神はいる

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「森」と「林」の違いは人が入れるかないか

「森」は「木」と「林」から構成される漢字です。林以上に木々がこんもりと生い茂り、深く草木が生えている場所を指すことは漢字から読み取れる通りです。


林は先にも書いたように、人々がその周辺で生活し、そこに分け入って団栗や山菜をとってくるような場所です。それに対し森は人々が立ち入れないような樹海や原生林、ジャングルのようなところを言いました。

 

人が立ち入れないというのは、木の根や草木が張り巡らされ人が入れないようなところという意味でもあり、一度は入ったら出られないような果てしのないところという意味でもあります。

 

そのため、特に人々が入れるような浅い木々の塊を「林」と、人も入ることができないような樹海を「森」と呼ぶようになりました。つまり「森」と「林」の違いは人が入れるかどうかということなのです。

 

もちろん、森も林と同様の性質を持っているので食物連鎖が起こり、人々もそこに神が住んでいると考えていました。

 

神様どこにでもいるね

日本はそういう国なんだ。この世に存在するすべてのものに神様が宿ると考えられていたんだよ。だからこそものを大切にしてきたんだね

 

「森」にある社は「もり」

日本では山や川そして草木(まとめて「山川草木」とも「山川叢林」とも言う)にはすべて神が住んでいるとされてきました。林もそれに含まれますし、森にも神が住んでいると考えられていました。

 

そのため、山川叢林の神が住んでいるとされる場所には特別な木が植えられ、人々はそれを神に見立て祀っていました。その後その木を囲むように建てられた建築物が「やしろ」「神社」と呼ばれるになったのです。

 

「社」は一時期「もり」とも呼ばれていました。これはご想像の通り「森」から音が来ており、特に社の周りの木々が生い茂っているところを指す言葉になっています。

この「もり」という音は「社」によく似た漢字「杜」に流れ、これを「杜(もり)」といいます。

 

このように人々は社を立てることで、森など木や木々から神を想像し、その気配を感じ取ろうとしました。そのため「森」という漢字には「厳かである」「厳粛である」という意味があります。

「森」という字をもって神が恐れ多いということを表そうとしたのですね。

 

この意味は現在も厳かであるという意味の「森厳」や静かでひっそりとしているという意味の「森閑」などの熟語に用いられています。

 

まとめ

  • 「林」は8画の会意文字。部首は「木」。
  • 林は動植物を育てることから、神が住んでいると考えられていた。「禁」はそのような考えを表している漢字。 
  • 「麓」は山裾にある林の周辺にあるまきばある場所のこと。
  • 「森」には「厳かである」「厳粛である」という意味がある

 

「木」と神様…かっこいい!

 

おわりに

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わたしは植物の名前や動物の名前だけでなく植生や食物連鎖など自然に関係することが結構好きです。

 

普段はバリバリの文系なのですが、そういったことをちまちま調べたりしています。小学生の時にも難読漢字といえば植物や魚編のものを中心にして調べていました。知識がないためそれぐらいしか言葉がわからないということもありましたが、やはり最も身近にあるため覚えやすかったというのがあります。

 

ですが、中学や高校になってくると無駄な雑学を含め、知識というのは増してきますから、神様に関係する示部などの漢字が面白く思えてくるのです。

「神様ってかっこいい」という小並感あふれる動機でしたがやはり「神」や「祭」のなりたちというのは深みにはまってしまう何かが感じられるものです。

 

今回取り上げた「林」という漢字は「麓」や「禁」などからもわかる通り、自然と神を繋ぐある種架け橋となるものなのではないでしょうか。

 

漢字にはとりわけ神仏を題材とした字が多数存在します。それは示や礻へんの漢字の多さからもわかります。ですがそれに反して神様が存在しないというのもまた事実です。

形声文字や指事文字もそうですが、この世に形が存在しないものを曖昧にせず、しっかりと解説できるかが今後のわたしの課題となっていきそうですね。

 

中ほどに書いた団栗からはじまる食物連鎖の例は、十二国記シリーズ『丕緒の鳥』にある「青条の蘭」というお話にある食物連鎖の説明を参考にさせていただきました。

参考資料

 

 

 

新明解国語辞典 第七版
明鏡国語辞典 第二版

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