【率】意味と成り立ちを詳しく解説!引率統率の「率」とは?【小学生】【読み方】

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この記事は
・漢字に興味がある方
・漢字を深く勉強をしたい方
・意味の由来やなりたちを詳しく知りたい方
に向けて書かれています。なるべく専門用語などは使わず噛み砕いて解説しているので、軽い気持ちで覗いてみてくださいね

今回の漢字は「率」だよ

 

 

【率】玄部11画 ソツ・リツ・ひきいる・したがう・おおむね
①全体のバランスから割り出した部分。割合
②ひきいる。統べ従える
③したがう。守りしたがう

今回は以上の意味について解説します。(番号は解説の順番になっています)

 

「率」ってどんな漢字?

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「率」は象形文字と呼ばれる漢字です。象形文字とは、人間が目で見ることができる〈もの〉をそのまま文字に書き起こしたものを言いいます。

人の姿を横から見た形である「人」や車を上から見た形である「車」など〈人〉〈もの〉〈動物〉などの漢字に比較的多く見られ、漢字の最も基本的な形といえるでしょう。

 

「率」は糸から染料を絞っている

「率」を分解すると2つの「ハ」と「十」そして「玄」に分けることができます。

 

このうち「玄」は束ねた糸を黒色に染色している様子を表現している漢字です。

糸が黒く染まっていることから「玄」には〈くろ〉という意味がありますが、「率」における「玄」は染色の行為そのものを指しています。

 

「十」は「十分(ジュウブン)」や「十全」などの熟語にも見られるように完全に備わっているのような用い方があります。

これは必要なものがすべて一箇所にまとまっているという見方ができることから、〈まとめる〉という意味になります。

「率」にある「十」も〈まとめる〉の意として使用されているといっていいでしょう。

 

このことから「率」は染色のための液体(染料)に浸けた糸をまとめ絞ることで、余分な染料が飛び散っている様子を象形した漢字といえます。

2つの「ハ」は飛び散った染料を表現しているのです。

 

もしかして「率」を学ぶにはまず「玄」を知る必要がある? 

基本的に「率」の「玄」は染色の行為を表しているだけだからそこだけ知っておけば問題ないね

 

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左:「率」の古代文字(篆書)「十」の字の真上にあるのが「玄」です。「玄」の両側に2つか重なるようにして書かれた「ハ」が水滴を表現しています。

右:「玄」の古代文字(篆書)「率」にある「玄」と全く同じ形であることがわかります。〇が2つ並んでいる部分が糸。

※スマホでは左右は上下になっています。ご注意を。

 

 

「確率」の「率」は染料の割合

「率」は「確率」や「比率」のように全体の中から割り出した部分、すなわち〈割合〉のような意味として用いられることがあります。

 

これは染料が染み込んだ糸を全体としたとき、絞った後に糸に残った染料の割合からきていると考えられるでしょう。

 

「率」にはもともと、染料を絞り切る動作から〈みな〉〈おおむね〉〈ことごとく〉のような意味が存在していました。

そのため染料を「全体」と考えることができるのです。

 

〈割合〉の意には諸説あり、解説も非常にあやふやなものが多いため、ここでは染料と関連付けた解釈を記しておくにとどめます。

 

「率」の部首は「玄」

「率」の部首は「玄」です。

 

玄部は〈奥ゆかしい〉や〈かすかである〉のことを表現するために用いられます。

しかし「率」にはそのような意味はありません。

 

「率」における「玄」はあくまでも "染色している様子" を示ためのものです。なので「玄」が持っている意味とはあまり関係がないのです。

 

「率」の中に「玄」を見つけづらいという理由から、「率」の部首を「亠(なべぶた)」としている漢和辞典も存在していますが、現在では玄部とするほうが一般的であるといえます。

 

成り立ちから考えても「玄」のほうが自然でしょう。

 

漢字で一番難しいのは間違いなく部首!

え~、300個くらいしかないじゃない

 

「帥」は「率」に影響された

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「率」はまとめ、ひきいていく

「率」は糸をまとめ、液体を絞っている様子を表現していました。

 

このことから「率」は、集団から人がはみ出ないようにまとめて引き締める〈ひきいる〉の意味に用いられるようになっていきます。

人を糸に例えたわけです。

 

この意味では「率先」や「引率」「統率」などに「率」は使用され、現在では最も一般的な使用例なっています。

 

〈ひきいる〉って引っ張ることじゃなくてまとめることなんだ

めいちゃんの目の付けどころにいいね→✰ 言葉の由来と漢字の意味付けは違うってことかもしれないね

 

「率」は集団からはみ出さないように従う

また〈ひきいる〉の意から転じて、「率」はルートや集団からはみ出ないように自分からまとまろうとする様子を示すようになりました。

すなわち自分から〈したがう〉ことを意味しているのです。

 

〈ひきいる〉の意は率いる側であったのに対し、〈したがう〉の意は率いられる側の目線となっており、「率」は反対の意味を一文字で完結させているといえるでしょう。

 

この意味はルートから外れないようにすることを言う「率由(ソツユウ)」や従順に従うことを言う「率循(ソツジュン)」などに用いられています。

 

〈したがう〉の意は〈ひきいる〉の意よりも使用頻度が少なく、あまり一般的ではありません。

 

いずれにせよ「率」は成り立ちの上では「玄」と深く関わっていましたが、現在ではほとんど関係のない漢字になっていることがわります。

 

「率先」は「帥先」とも書く

「元帥」や「総帥」など「帥(スイ)」は長(おさ)や物事を指揮する人物に対して使用されています。

 

「帥」は「𠂤(シ)」と「巾」から成り立っている漢字です。「𠂤」はこの場合神棚の扉のことを示しており、それをふきん(巾)で拭いている様子が「帥」となります。

 

ところで「帥」には〈ソツ〉という訓があります。

この〈ソツ〉が「率」の〈ソツ〉と通じたことで、「帥」は〈ひきいる〉〈したがう〉の意味を持つようになりました。

成り立ちとは全く無関係に "音が同じ" という理由だけでこの意味は成り立っています。

 

そのため「率先」は「帥先」とも書くことができるほか、先に挙げた「総帥」や「元帥」も〈ひきいる〉の意から構成されています。

 

現在ではこちらの意味のほうが一般的であり、神棚を拭く動作などとはほとんど関係がなくなってるといっていいでしょう。

 

確か「制」も「製」から〈つくる〉の意味が来てるんだったね。それと同じ?

そういうことだね。たぶん音が同じだから意味が混同されやすいんだよ

 

まとめ

  • 「率」は11画の象形文字。部首は「玄」。
  • 「率」は液体がしみ込んだ糸を絞っている様子を漢字にしている。
  • 「率」は集団から人がはみ出ないようにまとめて引き締める、〈ひきいる〉の意味に用いられた。これは糸を絞るところからきている。
  • 「率」は〈ひきいる〉の意味を反対にした〈したがう〉の意味にも用いる。
  • 「帥」の〈ひきいる〉と〈したがう〉意味は「率」からきている。

 

「師」と「帥」って超似てる

※別の漢字です

 

おわりに

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今回は「率」という漢字を見ていきました。

「率」の中に「玄」が見つけづらいから、「亠」にしたというのはわかりやすいかもしれませんが、成り立ちとはあだいぶかけ離れていることがわかります。

 

これでは例え成り立ちへたどり着いたとしても、なぜ「亠」があるのか分からず混乱してしまうのでは無いでしょうか。

 

「玄」における「亠」は厳密には「なべぶた」ではなく、糸を持つ手や糸をぶら下げる道具を簡略化したものであるためつながりが見いだせないのです。

わかりやすくすることはとても良いことだとは思いますが、その先のことを見なければなりませんね。

 

ところで「率」は糸をまとめて絞っているから、人をまとめることにつながるというのは、さすが漢字の連想はとどまるところを知らないようです。

それでも一貫性があるのですから、現在の部首を決めている人たちとは大違いでしょう。

ディスではありません。

 

参考資料

「白川フォント」

 

 

 

新明解国語辞典 第七版
新漢和大字典 普及版 (一般向辞典)

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