【幽】意味と成り立ちを詳しく解説!幽霊の「幽」って何?【小学生の漢字】【読み方】

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この記事は
・漢字に興味がある方
・漢字を深く勉強をしたい方
・意味の由来やなりたちを詳しく知りたい方
に向けて書かれています。なるべく専門用語などは使わず噛み砕いて解説しているので、軽い気持ちで覗いてみてくださいね

今回の漢字は「幽」だよ

 

 

【幽】9画 ユウ・かすか・ふかい・くらい
①ふかい。奥深くほのかなさま
②くらい。奥ゆかしい。もの静か
③かすか。ほのかでよく見えないさま

今回は以上の意味について解説します。(番号は解説の順番になっています)

 

「幽」ってどんな漢字?

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「幽」は会意文字と呼ばれる漢字です。会意文字とは、2つ以上の漢字の意味組み合わせることであたらしい意味の漢字を作ったものを言います。「日」が「雲」にさえぎられた様子である「曇」や「弓」の「つる(丨)」をひいている様子である「引」など〈行動〉や〈事象〉に比較的多く見られる形といえるでしょう。

 

「幽」は糸に火で着色している

「幽」は漢字を分解すると2つの「幺(いとがしら)」と「火」に分けることができます。※2つの「幺」は「林」のように同じ漢字が並んだ一文字の漢字ですが文字化けしてしまう可能性が高いため、ここでは2つの「幺」のように書かせていただきます。

 

このうち「幺」は「いとがしら」の名称からもわかるように「糸」の上側と同じ形をしています。

「糸」はいくつかの糸を束ねている様子を漢字にした象形文字であるため、ここでも「幺」は「束ねた糸」という意味合いで使用されていると考えて問題ありません。

 

「火」の部分は「山」のように見えますが、これは「火」の古代文字が変化せずに残った形です。

 

このことから「幽」は細い糸の束を火に燻(くす)べることで糸を黒色にしているところを表現しているといえます。

燻べるとは焼ける一歩手前の状態のことで、燃やすのではなく焦がすことで糸に着色する手法のことです。

 

この糸に表れた黒が非常に暗く、奥深いものであることから「幽」は〈ふかい〉や〈くらい〉の意味で用いられています。

 

この意味を使用している熟語には、非常に奥深い様である「幽玄」や暗いところ閉じ込める「幽閉」などがあたります。

 

糸を黒く染める手法ってひとつじゃないんだ!

色って結構漢字と関係が深いから、漢字を見るだけでもたくさんの手法や色の名前を学ぶことができるよね

 

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左:「幽」の古代文字(甲骨文字)下側が火の象形文字です。火の間ある〇が2つ重なった部分が「幺」になります。この部分が黒くなっている箇所です。

右:「火」の古代文字(甲骨文字)細かい違いはあるものの「幽」の下側の形と酷似していることがわかります。

※スマホでは左右は上下になっています。ご注意を。

 

「玄」は糸を黒く染色している

「幽」と同じく「幺」が入っている漢字としては「玄」があります。

これは「幺」を黒い液体(染料)に浸けることで、糸を黒く染めている様子を表現している漢字です。

 

糸を黒くしていることから「玄」には〈くろ〉という意味があるほか、その黒が奥深いものを感じさせるということから〈ふかい〉という意味にもなりました。

 

「幺」を黒にしている点や、〈ふかい〉など「玄」と「幽」は非常に似ている部分が多い漢字であるといえます。

 

 

「幽」の部首は「幺」

「幽」の部首は「幺」です。

 

幺部は〈細いもの〉や〈かすかなもの〉〈小さいもの〉を表現するために使用されます。

これを部首とするものではかすかな力しかない子供のことである「幼」が最もわかりやすいでしょう。

 

「幽」では "細い糸を束ねたもの" の部分がそれにあたりますが、「幺」が2つ並んでいるため、ここでは細い糸をいくつも束ねて太くしているものが使用されているといえます。

 

「糸」も成り立ち上では非常に細い糸を指していることから、「糸」と「幺」の間にはそこまで大きな差はありません。

 

「幽微」はとても対称的な言葉

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「幽霊」はぼんやりとした霊のこと

「幺」を燻べることで表れた黒色は奥深いのと同時に、その奥に微かにぼんやりと何かが見えそうであることから「幽」には〈かすか〉や〈ぼんやりと〉の意があります。

これは奥深い黒には、何かが潜んでいるように見えるという解釈です。

 

この意味は、ぼんやりとした夢を指す「幽夢」や非常に微かなことを指す「幽微」に使用されています。

 

「幽霊」は「霊」が神霊に関わる超常現象を指している漢字であることから、非常に微かでぼんやりとした超常現象のことを指している熟語であるといえます。

 

「幽霊」ってお化けの事だけじゃないんだ

ぼんやりとした超常現象ってすっごい弱そうだよね

 

「微」は誘惑を〈かすか〉にしている

ところで「幽微」にある「微」も〈かすか〉の意味を持つ熟語です。

 

「微」は漢字を分解すると「彳(ぎょうにんべん)」と「𣁋(ビ)」に分けることができます。

 

「𣁋」はさらに「兀」「山」「攵」に分かれていきますが、そのうち「兀」は人の全身を横から見た形を表している漢字です。上にある「山」は長髪に髪飾りが付いている様子を表現しています。

なので「兀」は長髪の女性といえるでしょう。

 

また「攵」は手に鞭や棒を持っている形で、転じて〈ものを打ち付ける〉という意味があります。

 

「𣁋」は髪飾りをつけた長髪の女性を棒でたたくことで、喝を入れている様子を示しています。棒で気合を注入するわけです。

 

喝を入れることで外部からの誘惑を断ち切り弱めることができることから、「微」には〈かすか〉や〈よわめる〉の意があります。

 

道の真ん中で喝を入れてもらうことで誘惑を断ち切る決意を示しているため、へんには道路の交差点を表す「彳」が用いられています。

 

「幽」と「微」の比較

比較してみることによって「幽」と「微」にはどちらも〈かすか〉の意があることがわかりました。

 

「幽」の〈かすか〉は人間の目で見て感じることができますが、「微」の〈かすか〉は目で見ることができず喝を入れられた本人しか感じることができないものです。

この点が非常に大きな違いといえます。

 

非常に微かなことを指す「幽微」は意味の上ではともかく、成り立ちの上ではとても対称的な熟語といえるでしょう。

 

「微」記事鋭意製作中

 

まとめ

  • 「幽」は9画の会意文字。部首は「幺」。
  • 「幽」は糸束を火に燻べることで糸を黒色にしていることから、その色を指して〈ふかい〉や〈くらい〉という意味になった。
  • 「玄」は糸に染色した黒が奥深いものを感じさせるということから〈ふかい〉という意味がある。
  • 「幽」の黒が非常に微かであることから〈かすか〉や〈ぼんやりと〉の意味もある。
  • 「微」は喝を入れることで、誘惑を弱めている。このことから〈かすか〉や〈よわめる〉の意がある。

 

「幽」と「微」の違いは結構面白いね

 

おわりに

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今回は「幽」という漢字を見ていきました。

 

最後に「微」との比較をしたのですが、実は「微」の説明は少し間違っています。 「微」でいわれている長髪の女性というのは実は巫女のことです。巫女は呪術的な能力を使うことができ、相手に呪いを送ることができるとされている人のことを言います。

 

ここでの巫女は敵の巫女に呪いで攻撃されて弱っており、その巫女を棒で打つことで呪いの力を弱めている様子が「微」では表されています。

 

これだけ見てもわかるように、現代と過去の考え方が違うことを考慮したとしてもあまりにも意味不明であるように思います。

漢字には呪術的な解釈がつきものですが、これでは漢字の解説にならず、あまり親近感がわかないように思いました。

 

そのため今回は呪術的な要素を抜き「喝」という言葉を使うことで、精神的な解釈で紹介することにしました。

巫女云々の解釈よりも納得できやすいものになっているのではないかと思います。 わたしの解釈だけを書くとまずいので本来の説も書かせていただきました。

 

今後もこういうことがあると思います。そこは臨機応変にやっていくのでよろしくどうぞ。

 

参考資料

 

 

 

新明解国語辞典 第七版 全訳漢辞海 第四版
新漢和大字典 普及版 (一般向辞典)

全訳漢辞海 第四版

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