【玄】意味と成り立ちを詳しく解説!「玄」は何がくろい?【中学生】【読み方】

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この記事は
・漢字に興味がある方
・漢字を深く勉強をしたい方
・意味の由来やなりたちを詳しく知りたい方
に向けて書かれています。なるべく専門用語などは使わず噛み砕いて解説しているので、軽い気持ちで覗いてみてくださいね

今回の漢字は「玄」だよ

 

 

【玄】5画 ゲン・くろ・ふかい・しずか
①くろ。くろい。赤黒い
②奥深い
③静かなさま

今回は以上の意味について解説していきます。(番号は解説の順番になっています)

 

「玄」ってどんな漢字?

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「玄」は象形文字と呼ばれる漢字です。象形文字とは、人間が目で見ることができる〈もの〉をそのまま文字に書き起こしたものを言いいます。


人の姿を横から見た形である「人」や車を上から見た形である「車」など〈人〉〈もの〉〈動物〉の漢字に比較的多く見られます。漢字の最も基本的な形といえるでしょう。

 

「玄」は糸が黒く染まるから〈くろ〉

「玄」は漢字を分解すると「亠(なべぶた)」と「幺(いとがしら)」に分けることができます。

 

このうち「幺」は「いとがしら」の名称からもわかるように、「糸」の上側と同じ形をしているものです。

「糸」はいくつかの糸を束ねている様子を漢字にした象形文字であるため、ここでも「幺」は「束ねた糸」という意味合いで使用されています。

 

「玄」はこの束ねた糸を鍋に入った染汁(そめしる)につけることで、糸を黒く染めいている様子を表現しています。染汁とは糸や布の染色に用いる液体のことです。

なので「玄」には〈くろ〉という意味があり、現在では「黒」とほとんど区別のない漢字になっているといえます。

  

ここでは「亠」は糸束を持っている手、あるいは糸束をぶら下げている道具を示しているため、これは正確には「なべぶた」ではありません。また染汁の入った鍋とも無関係なので注意してください。

 

上記のことから「玄」は糸束を染汁につけ黒く染めている様子を象形している漢字であるといえます。

 

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左:「玄」の古代文字(篆書)〇が縦に2つ並んでいる部分が「幺」です。この部分が黒く染まっています。

右:「糸」の古代文字(篆書)上側が「幺」と全く同じ形であることがわかります。

※スマホでは左右は上下になっています。ご注意を。

  

 

「玄」の部首は「玄」

「玄」の部首は「玄」です。

 

一見すると「幼」や「幻」と同じく「幺」が部首のように見えます。

 

しかし「玄」はもともと染色の行為そのものを象形した漢字です。となると糸束を染色する手(亠)がなければそれは成り立たちません。「幺」だけでは染色の様子が表現できないのです。

 

なのでそれらすべてを含めた「玄」が「玄」の部首だとみることができます。

 

糸をつける手がなければそもそも染色をしていることにもならないってことだね

難しいなぁ。部首って気まぐれなとこあるよね

 

「玄」の〈くろ〉は奥深い

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「玄」の〈くろ〉は漆黒ではない

現在では「玄」と「黒」の間に違いはありません。「黒」と書いても「玄」と書いても指しているものは完全なる黒、漆黒となります。

 

しかし、染色における「玄」の色は黒に赤みが混じった色になっており、もともとはこの色を指して「玄(ゲン)」といいいました。

この色は染汁に糸を何回重ねて浸けたかで変化していきます。「玄」は完全に「黒」になる少し手前の色という認識でいいでしょう。

 

黒の中に赤みが混じることで、黒よりも奥深いものを感じさせるということから「玄」には〈ふかい〉という意味が付きました。これは黒の奥に赤が見えるため深みが出ているということです。

また、奥深さはより静かな雰囲気を感じさせることから〈しずか〉の意味にも用いられています。

 

これら意味は非常に奥深いことをいう「幽玄」や「玄関」などに使用されています。

 

え? 「玄関」って家とかの?

「玄関」はもともと 仏教用語で、奥深いところに入ることなんだって

 

「幽」は「幺」が燻んで黒くなったもの

ところで「幽玄」の「幽」にも「幺」が使われていることがわかります。
「幽」は〈ふかい〉や〈くらい〉など「玄」と同じような意味を持っている漢字です。

 

この字は分解すると「幺」が2つと「火」になります。
現在の漢字とは似ても似つきませんが、「幺」を除いた「山」のような部分は「火」の古代文字の形がそのまま残っているものです。

 

「幽」は複数の糸束を並べて、それらを燻(くす)べることで黒色にしているところを表現しています。燻べるとは焼ける一歩手前の状態のことで、燃やすのではなく焦がすことで糸に着色する手法のことです。

 

これによって現れた黒が非常に暗く奥深いことから、「幽」には〈くらい〉や〈ふかい〉の意味が付いています。

 

この意味は奥深く暗いことをいう「幽暗」や人里離れた静かで深いところを言う「幽谷」などに使用されています。

 

つまり「幽玄」はすごーく奥深いってことなのか

同じ意味を重ねているから強調しているってことだね

 

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左:「幽」の古代文字(甲骨文字)下側が火の象形文字です。火の間に「幺」があることがわかります。この部分が黒くなっている箇所です。

右:「火」の古代文字(甲骨文字)細かい違いはあるものの「幽」の下側の形と酷似していることがわかります。

 ※スマホでは左右は上下になっています。ご注意を。

 

「玄」と「幽」の比較

比較してみることによって、「玄」と「幽」はどちらも糸を黒く着色しているしている場面を描写していることがわかりました。

 

昔の人々はどちらの〈くろ〉も奥深く静かな色であると感じたため、「玄」と「幽」はほとんど同じ意味の漢字として伝わることとなったようです。

 

これらは現在でも「幽玄」や「幽谷」など近しい意味で用いられているといえます。

 

「幽」記事鋭意製作中

 

まとめ

  • 「玄」は5画の象形文字。部首は「玄」。
  • 「玄」は糸を黒く染めているため〈くろ〉という意味がある。
  • 「玄」は赤黒く奥深いものを感じさせるというところから〈ふかい〉という意味がある。
  • 「幽」は糸を燻べることで黒色にしている。その色が暗く奥深いことから、〈くらい〉や〈ふかい〉の意味が付いている、

 

「幽玄」って難しい熟語だよねぇ。使ったことないよ

 

おわりに

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今回は意味の都合上紹介できませんでしたが、「玄」における染色の場面で黒に染まらなかった部分を「素」といいます。「素」には〈しろ〉があり、「玄」との対義語としては「玄人」と「素人」が有名です。

 

色を表す漢字は様々存在していますが今回の「玄」と「黒」、「白」と「素」などのように同じ色の名前を複数の漢字が指している場合があります。


あかなどは「赤」「朱」「紅」「緋」「丹」「銅」「絳」と無数に存在しています。
しかしこれらはすべて意味があって作られた漢字です。「もういっこ赤の漢字作っちゃお~」と気分で増やしているわけではないのです。

 

現在ではその境界は非常にあいまいになり、認識もされていません。
だからこそ本当の由来や成り立ちを知った時の驚きもひとしおであると思います。

是非一度漢字の由来についてゆっくり見てみてはいかがでしょうか。わたしは強くお勧めします。

 

「玄武」って神様いるよね

北を守る神様のことだね。五行説からきていて「玄冬」という言葉と同じ由来だよ

ゴギョーセツ?

んー、ちょっと難しいからまた今度

 参考資料

「白川フォント」

 

 

 

全訳漢辞海 第四版
新漢和大字典 普及版 (一般向辞典)

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