【小学六年生の漢字】《枚》:1枚2枚の「枚」って何を表しているの? 

アイキャッチ【一枚】
数え方辞典や国語辞典を見てみると田んぼはどうやら1枚2枚と数えるようです。

こういわれてみるとそういえば田んぼの数え方なんて考えたこともありませんでした。

 

日本ではウサギは1羽2羽と数えたり、タンスは1棹(さお)2棹と数えたりします。

 

もう慣れてしまって世間の人が疑問を抱かない単位といえば、例えば商品です。コンビニで「1点2点…」といったり、1点モノの家具といったり、なぜか「点」という単位を使うのです。

 

ここに外国の単位が入ってくるのですから単位というのは非常に複雑といえます。

普段から目にしているものでも意外な数え方のモノがあるかもしれませんね。

うさぎskeezeによるPixabayからの画像 


というわけで今回は「枚」という漢字を見ていきます。

 

 

「枚」ってどんな漢字?

こあらStockSnapによるPixabayからの画像 

 

「枚」は8画の会意文字です。

 

「枚」は「木」「攵(ぼくにょう)」を組み合わせた漢字です。「攵」は本来部首として使われている場合が多いですが、「枚」の場合は木へんが部首の漢字になります。

 

「攵」はもともとの形を「攴」のように書き、枝や棒を手に持った様子を表しています。部首索引では「攴(攵)」のように載っている場合が多いですが現在の漢字ではほとんどの場合「攵」を使います。

 

また、「攵」には手に持っている枝や棒を表していることから、打ち付けるという意味があります

そのため「枚」は「木」を打ち付けている様子を表しているのです。(木のどこを打ち付けているか、何で打ち付けているかなど詳しい説明は後述します。)

 

「攵」はなりたちとしては枝や棒を持っている姿を表していますが、「政」という漢字ではむちを持っている姿を指しているなど、持つものに関して特に決まりはありません

 

http://www.dl.is.ritsumei.ac.jp/Shirakawa/search/gallery-images/U+679A_tenbun-1.svg

「枚」のなりたち【篆書

 

なりたちでは篆書の字体などが非常にわかりやすく、「木」の横に棒状のものを持った「手」が書かれていることが読み取れます。

これを見れば分かる通り、「攴」の上側の「卜」のような字の部分が枝、下側の「又」の字が手を表しています。

 

「又」は手を表す象形文字であるため、「攴」はまさしく手に持った枝を表しているといえるのです。

 

かきじゅん


書き順はこのようになります。

 

「攵」と似たような形の部首に「夂(ふゆがしら)」があります。

その名の通り「冬」の字の上側に見られる形で「攵」に非常によく似ていますが、なりたちがまったくことなるため別の部首です。

 

「夂」は3画で書きますが、書き順にある通り「攵」は4画で書きます。この点が最大の違いといえるでしょう。

 

また「条」にはこの「夂」のような形がありますが、これは旧字体「條」の名残であるため、「」ではなく「攵」がついた漢字であるといえます。

 

 

先ほども申し上げたように「枚」の部首はあくまでも「木」なのでご注意を

 

1枚2枚の「枚」

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「攵」は手に持った棒を表し、打ち付けるという意味があることは先に述べた通りです。

 

なりたちとして「枚」は木を打ち付けている様子を表していますが、ここでは何で木のどこを打ち付けているのかという点が重要です。

木の棒で木を打っていても何の意味もなく、これだけでは何を表しているのかわかりません。

 

木を打ち付けるという動作はそれによって木を断ち切る、あるいはへし折るということです。

その対象は枝や根ではありえません。幹ということになります。

そして、木の幹を断ち切るときに最も適している道具は斧です。

つまり「枚」は斧で木の幹を打ち付け、これを断ち切っている様を示しているのです。

 

斧で木を打つことによってつくられるものは木の破片や棒、そして板切れです。

板切れは木や板の切れ端のことで薄かったり細長かったりするものをいいます。

このことから「枚」は薄い板切れのことを指すようになりました。

そして、そのことから転じて薄いもの全体を指すことばとなったのです。

 

さらに、薄い板切れやうすいものを指すことから続いて、「枚」はそのままうすいものを数えるようになり、「枚」という単位として用いられるようになりました。

現在の日本では薄いものに限らず冒頭にあげた田んぼや着物など様々なものを数えるときの単位として「枚」は使用されていますが、もとは板きれを数える単位だったということなのです。

 

だから「枚」には木へんが付いていたのか!

そういうことだね!「枚」が木を打っている様子を表しているということだけじゃ、薄いものを数える単位とは結び付かないもんね。こうやってなりたちを知ることが大切だよ

 

「枚」と同じく斧で木を打つ漢字として「析」があります。是非チェックしてみてください。

 

 

「枚」は細くて「幹」は太い

もりFree-PhotosによるPixabayからの画像 

 

「枚」は斧で幹を打ち断ち切っている様子を表しています。

 

このことから「枚」は斧で断ち切れるほど細い幹のことを指すようになりました。

辞書によっては杖をつくれるくらいの幹や単に木の幹を表すなど記述は様々ですが、いずれにせよ「枚」は幹のことを表すのです。

 

では「枚」は細い幹を表していますが、「幹」という漢字自体はどういう意味なのでしょう。

 

まず「幹」の部首は「干」です。そして「幹」の「カン」の音も「干」からきています。

「干」は乾くなどの意味がありますが、もともとは長方形の盾を表している漢字です。そのため「干」には太いという意味やまっすぐにのび伸びている(立っている)という意味があります

 

また「幹」の左側の字は「朝」や「乾」などに見られますが、これは「艸(くさ)」の間から日が昇ってきている様子を表しています。

「日」の上下にある「十」のような字が「艸」を示しているのです。

この様子から「幹」の左側の字は日が昇る力強さを意味するようになりました

 

これらのことから「幹」は力強くまっすぐに伸びた木の幹を示していることが分かります。
つまり


「枚」は斧で断ち切れるくらい細い幹
「幹」は力強くまっすぐ生えている太い幹

 

をそれぞれ表しているといえるのです。 

 

「幹」に力強いとかまっすぐという意味があるのはわかったけれど、みきという意味はどこから来たの?

「幹」もとの漢字を「榦」と書くんだよ。「榦」にはもともとみきはしらといった意味があって、そのことからみきを表すようになったんだ。詳しく話すとすごく長いからまた別に「幹」のページで勉強してみよう!

 

「枚」が幹を表すほか「条」はえだ、「枝」は幹との分かれ目を示しているなど、「枚」「条」「枝」は類語の関係にあります。

まとめ

「枚」は8画の会意文字。
「枚」は「木」と「攵」を組み合わせた漢字。
「枚」は木の幹を斧で打ち付けることによって板切れをつくっている。
「枚」うすいものを表すようになり、さらにうすいものを数える単位になった。
「枚」は斧で切れるくらいの細い幹、「幹」は力強く生えている太い幹

 

特に「幹」との関係は面白いなぁ!

おわりに

ねこRebekka DによるPixabayからの画像 

 

「枚」は小学六年生で習う漢字ですが、「プリントを一枚取る」や「写真を一枚撮る」など日常生活でよく見かける漢字です。

しかしだからこそその漢字のなりたちや意味の由来には特に頓着しなくなるように感じます。

 

冒頭にあげたようにモノを数えるときの単位や漢字のなりたち、はたまた道具など、あたりまえに日常にあるものに目を向けそれに対する疑問を考えてみるのも案外面白いことかもしれませんね。

 

というわけで今回は「枚」という漢字を見ていきました。
ここまで読んでいただきありがとうございます。ではまた次の漢字で!

 

今回訓としては特に出さなかったけれど、大阪には「枚方(ひらかた)」という地名があるんだよ

ヒラカタ? 「枚」は薄いものだから「ひらひら」の「ひら」なのかな?

わたしもそう思ったんだけれど、「ひらひら」は実際には「飜々」や「翻々」って書くんだって。鳥の羽を表しているということだね

鳥の羽…いかにもひらひら舞いそうだね

参考資料

別表 学年別漢字配当表:文部科学省

「白川フォント」

 

 

 

 

 

 

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