【小学三年生の漢字】《根》:「根」に付いてる「艮」ってどういう意味? 

この記事では小学3年生の配当漢字「根」について紹介しています。

「根」にある「艮」の字とは何なのか、「根」はなぜ木の根のことを表すのかなど、漢字の構成やなりたちから解説しています。

是非ご自分の目で確認してみてくださいね!

 

詰まらなかったらまえがきは飛ばしても問題ないですよ

 

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まえがき「菜根譚」

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菜根とは芋や根野菜のことをいい、粗末な食事という意味があります。そんなことばをタイトルにしている『菜根譚(サイコンタン)』は中国明(ミン)の時代に書かれた随筆集です。

意外にも中国ではあまり読まれず、江戸時代にとりわけ日本人に好まれたといわれています。

 

『菜根譚』はとにかく、贅沢をしている人や目立ちたがり屋の人、騒がしい人を批判するようなことが書いてあり、「それを反面教師にして教訓を得よ」といった内容になっています。つまり、あのような人間になるなということです。


私は大学生の時にこれを読んで、これはむしろ現代人が読むべきものなのではないかと思いました。例えば例を挙げると以下のようなことが書かれています。

 

32節「低い地位に甘んじていれば、高い地位がどんなに危険なものかがよくわかる。暗いところから見ていると「日の当たる場所」にいるものの実態がよく見える。じっと動かないでいるうちに、駆けずり回ることの空しさがわかってくる。沈黙を守っているうちに、口数が多いのはさわがしいばかりだと悟ってくる。

55節「ぜいたくな暮らしをしていると、いくら富んでいても満ち足りた思いをすることはできない。つましい暮らしをしながら、余裕を楽しむほうがよほどましではないか。(後略)」

 

『菜根譚』に書かれていることは少し極端です。しかし現在の大量生産大量消費(粗製乱造)の社会や情報過多な騒がしい世の中に住んでいる現代人にこそ、教訓となる内容が書いてあるのではないかと感じます。

貧しいからと言って諦めるのではなく、貧しさや質素さの中に幸せを見つけて静かに暮らしていくことが自分を高める近道なのかもしれませんね。

「根」ってどんな漢字?

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【根】コン・ね『常用字解』第2版より

 

さて、今回見ていく「根」は10画の形成文字です。形成文字とは象形文字に音を表す漢字をつけることで新しく作られた漢字のことをいいます。「形」に「声(音)」を足しているということです。「根」の場合は「木」という象形文字に「艮(コン)」を組み合わせた漢字であるため、「艮」という字が「根」の音になっています。

 

また、「机」のように「几」の音と意味を同時に使用している漢字を会意形声文字といいます。詳しくは後で書きますが、「根」も「艮」に含まれている意味を用いているため、この漢字は会意形成文字といえます。そのため「艮」の意味は「根」のなりたちに大きく関わってくることになるのです。

 

かきじゅん


書き順で確認してみると、このようになります。


「艮」は「良」の1画目がとれたような形であったり、「昆虫」の「昆」と音が同じであったりしますが、これらは意味やなりたちのの上では何の関係もありません。

 

…随分短い解説だね

…ごめん

 

木の根という意味の「根」

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ところで「根」のつくりの部分である「艮」はもともと、「目」の下に「匕(ヒ)」を付けた漢字です。「匕」は匙(スプーン)の形を表している象形文字ですが、「匕首(あいくち)」などに使われいるようにスプーンのような形や大きさのナイフの意味にも用いられています「目」はそのまま人間や動物の目を象形した文字ですから、「目」と「匕」を組み合わせた「艮」は目にナイフをあててえぐっている様子を表す会意文字であるといえるのです。

 

しかしナイフで目をえぐることはそう容易なことではありません。目は骨の間に埋まっており、筋肉などで固定されているからです。そのため「艮」には目のように穴にとどまって取れないという考え方が付いていくことになります。


このことから「艮」にはとどまって動くことがないという意味や強情という意味が付き、用いられるようになりました


「艮」に木へんがついた「根」はこの動くことができないという意味を用いています。
つまり「根」は地面にとどまって抜けることのない、がっしりとした根のことを表しているのです。

 

「艮」のなりたちは恐ろしいね。目をえぐるなんて…

漢字には人体を損壊することを表すものが多いんだよ。首切りなんかが普通だった時代のことだから自然そういったものが増えていったのだと考えられるね。

 

白川静先生の『常用字解』などでは今回紹介した内容とは全く異なる説が出ており、要約すると以下のようになります。

 「艮」は「目」と人を横から見た姿である「匕」を合わせたものである。「目」は呪いをかけ災いを起こす力があり、「艮」はそれによって退いている人の姿を表している。このことから「根」は木の根がうまく進むことができず地上に盛り上がった部分を指している。

つまり、「匕」はナイフではなく人を表しているということです。

確かに「北」や「比」における「匕」は人を横から見た姿を表しています。「北」などにおける「匕」と「艮」における「匕」は変化する過程で同じ形になってしまった漢字なのです。


ですが「根」において「艮」を人の形と解釈してしまった場合、非常に呪術的なものになってしまい「根」との関係性を把握しづらいと考えたため、今回は別の説を解説に採用しました。学術的にどちらが正しいかといった点を把握できなかったので、念のためこちらの説も記述させていただきます。

 

「艮」のとどまって動くことができないといった意は「恨」「限」「痕」などにも用いられています。是非チェックしてみてください。

木は根に拠っている

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「根」ががっしりとした根のことを表わしていることからもわかる通り、「根」は木の根を表す代表的な漢字といます。ですが、木の根を表す漢字にはもうひとつ「本」というものがあります。「本」は「木」の下部に記号を入れた漢字で、木の下側、すなわち根を指している指事文字なのです。

 

ところで根は種から生え、やがて木を育てていく役割を持っています。つまり木の最初の出発点が根ということになります。このことを表すために「本」には物事のはじまり、あるいはおおもとという意味があります。そしてこれは「根」にも言え、「根源」のように用いられているのです。

 

これらと同じように、物事のはじめやおおもとを表す漢字は「根」や「本」に加え「基」「源」「幹」「元」など多数存在しています。

 

ですが「根」と「本」の2つの漢字には、このおおもとという意味のほか、さらに根拠となるもののような用いられ方があります。例としては「根底」や「根本」がそれにあたるでしょう。

 

「根拠」は定義としては様々ですが、言動や行動の理由、あるいはそのよりどころという意味になります。つまり現在起こっていたり主張されている物事の、根本となる物事のことを指しているのです。

そして、よりどころという意味を調べてみると以下のようになります。

 

【拠り所】そのものを支えており、それが無くなればそのもの自身の成り立ちが危うくなるもの。『新明解国語辞典』第7版より

 

この意味を木の根に置き換えて解釈してみましょう。

例えば、幹が細くても太くても、木は根がなければそこに立っていられないでしょう。仮に幹だけを地面に突き刺しても木は生きてはいけません。根がなくなれば、木は生長することも、存在することもできなくなるのです。この状態が木が根に拠(よ)っているということです。木は根が根底にあるからこそ、幹や枝が成り立っているといえるのです。

 

このよう考え方から「根」にはものごとのよりどころ、すなわち根拠になるという意味が付け加えられたのです。

 

「本」も同じようなことなのかな?

木は根の「もと」という考え方かもしれないね。木になるもとがなかったら木もなりたたないからね

 

 

まとめ

  • 「根」は10画の会意形成文字。
  • 「艮」は目をナイフでえぐっている様子を表している。
  • 「艮」は目のようにとどまって動かいないという意味がある。
  • 「根」は「艮」の意味を借りて地上にとどまって動かない根を表している。
  • 「根」と「本」には物事の根拠となるものという意味がある。

 

「源」や「元」の意味も覚えなくちゃ!

 

おわりに

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今回は会意形成文字でしたが、形成文字は象形文字や会意文字に比べて格段に書くことが減ります。

わたしはこれにより記事の質を落としかねない事態なのですが、逆に形成文字を勉強する方々にとってはこれほどラッキーなことはないかもしれません。


漢字について覚えることが少ないからラッキーということではなく、全く別の漢字を知ることができる機会だからです。


今回のように形成文字の説明では必然的に音を担っている漢字の解説に入っていくことになります。ほとんどの場合音を担っている漢字は常用漢字ではありません。

そのため見たことはあるけど意味は全然知らなかったり、そもそもひとつの漢字であることすら知らないものに出会うことになるのです。


そして「艮」が「痕」や「恨」に使われているように、音を担っている別の漢字へとジャンプしていけるようになります。

「根」→「艮」→「痕」

 

わたしは漢字を勉強したり、見ていったりするうえでこのような知識の連関が何よりも大切だと思っています。
形成文字はそういう意味で漢字を勉強する方々にとってはラッキーな字だと思えるのです。

 

と、このように長ったらしい文章を書けるのも形成文字の記事ならではなのかもしれませんね。

 

というわけで今回は「根」という漢字を見ていきました。
ここまで読んでいただきありがとうございます。ではまた次の漢字で!

 

蓮根は蓮根でも陸の上にある「陸蓮根」ってなーんだ?

「陸蓮根」? 蓮じゃないの?

蓮も陸にはないでしょ。「陸蓮根」は「オクラ」って読むんだって。なかなかうまいよね。

うーん、オクラの穴を蓮根に見立てる神経がすごいなぁ…

参考資料

 

 

 

 

 

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