【小学五年生の漢字】《支》:「支出」の「支」とは? 「枝」は何で「支」があるの?

あいきゃっち【支子】
突然ですが、これでなんと「くちなし」と読みます。


くちなしは夏になると白い花を咲かせる木で、染料に使われていることで有名な植物です。
白い花を咲かせているものの、染め物にすると薄い黄色を帯びるのが特徴です。


くちなしの実は白い花とは一転オレンジ色になります。

「くちなし」の由来はこの実にあり、栗や椿のように実がなってもそれが割れないことから、口が無いすなわち「口無し」となりました。

 

くちなしは漢字表記がたくさんあり、一般的には【梔子】や単に【梔】のように書きます。また【山梔子】も「くちなし」と読みます。
「梔子」は「シシ」ともいうため「支子」はこの音をあてたものといえるでしょう。


素麺やたくあんにもくちなしの色は使われいますから、原材料名を確認してみるのも面白いかもしれませんね。

はなYutthana TanapunyoによるPixabayからの画像


というわけで今回は「支」という漢字を見ていきます。

 

 

「支」ってどんな漢字?

えだCouleurによるPixabayからの画像

 

「支」は4画の会意文字です。

 

「又(ユウ)」に「十」を組み合わせた形をしています。

「十」はここでは木の枝を表していますが、竹とする説もみられます。いずれにせよ「十」は棒状のものを表しています。

江戸時代の数学である和算では、細長い棒を縦横に置くことで数字を表し計算していました。
算木での「十」は縦に棒を1本置くことで表された数字でしたが、漢字の「十」は縦棒にそれを強調する記号(点)を加えることでなりたちました。

「十」自体には枝などの意味はありませんが、ここではそれを表す役割を持っています。 

また、その下にある「又」は右手を表す象形文字です。右手の指と手首を指しています。

 

つまりこれら2つの漢字を組み合わせた「支」は枝を手で持っている様子を表しているのです。

 

なりたち

「支」のなりたち【篆書

 

なりたちで「支」を確認するとこのようになります。

特に「又」がわかりやすく、手を横から見たような形をしているのがわかります。

 

「支」と非常によく似た漢字で、部首に多く見られるものに「攴(ボク)」があります。これぼくにょうといい、一般的には「枚」や「政」などにみられます。

この「攵(ボク)」の字がもとの形を「攴(ボク)」のように書くのです。

「支」と同じく、これも手に枝を持っている様子を表しています。

 

なりたち

「政」のなりたち【篆書】


篆書で比べて見るとわかりやすく、手に持っている枝の形が「十」か「卜」のような形であるかの違いになっているのがわかります。

 

このように「支」と「攴」は大変似ている漢字ですが、「支」はささえるという意味で、「攴」は打ち付けるという意味でそれぞれ用いられているため、意味の点で明確な違いがあります。

 

いずれにせよなりたちは大変似たものであるため、覚えておいて損はないでしょう。

 

かきじゅん

 

書き順ではこのようになります。


一見したところ「又」は篆書の字形と異なるように見えますが、実際には3画目と4画目の頭が同じ位置から始まっているだけです。


つまり「又」の字も「十」の字もなりたった当初からほとんど変化がない字であるといえます。

 

「支」の部首は「十」? それとも「又」かな?

「支」の部首は「支」だね。でも実際には「攲」「㩻」など難しい漢字ばかりだよ。

 

支えるという意味の「支」

せんたくWilli HeidelbachによるPixabayからの画像

 

「支」は木の枝を持っている様子を表す漢字です。

 

ところで枝や棒は、例えばつっかえ棒や竿上げ棒などモノを昇降したりささえたりするときに使われることがあります。添木なども同じです。
これは人が持った棒にも言えることで、わかりやすく言えば玉入れ競争のポールをささえたりする動作などがそれにあたります。

 

このような様子や動作から「支」にはモノをささえるという意味がつき、手に持った棒や単に枝などでモノをささえている様子を表すようになりました。

この意味は「支柱」など文字通りモノをささえるという意味でも使われていますが、現在では「支援」や「支持」など援助するという意味や力添えするといった意味にも使われることがあります

 

 

また、「支」を使うことばとして「差し支(つか)える」というものがあります。


意味としては以下のようなものです。

【差し支える】何かをするのに都合の悪い事情。
『新明解国語辞典』第7版より。


この場合の「支」は物事が閊(つか)える、つまり先に進めないという意味で使われています。そしてこの閊えるという意味は「支」のささえるの意から転用されたものなのです。

 

例えば、襖(ふすま)など引き戸を例に挙げてみましょう。

もし、つっかえ棒を引き戸の内側に立てかけておいたとすれば、外側からこれを開くことはできません。この状態が閊えて中に入れない、つまり前に進めないということになります。
一方内側から見てみると棒は、引き戸が開かないように持ちこたえているように見えることでしょう。

この「持ちこたえている」という部分が「支」のささえるにあたります。

 

つまりささえるということばには、持ちこたえるというニュアンスが含まれているのです。

 

以上はわたしの解釈ですが、このような考え方から「支」は「差し支える」にみられるように、閊えるという意味で用いられるようになりました

 枝分かれの「支」

みちRÜŞTÜ BOZKUŞによるPixabayからの画像

 

「本流」と「支流」ということばがあります。


「本流」は複数の川が合流した根幹となる川のことで、「支流」は本流へ流れ行ったりそこから枝分かれした川のことを指しています。
例えば隅田川が本流だとすれば、支流は神田川などです。川は合流することで大きくなったり、反対に枝分かれして小さい川ができたりしていきます。

 

このような形で「支」にはえだや枝分かれするという意味があります。この意味は「本流」と「支流」にみられるように「本」と対となるものです。
「本」は根を表す漢字であり物事の根幹を表すことから、それに対応するように「支」にはえだという意味を与え、枝分かれしていることを表そうとしたのです。

 

「支」にもえだの意がありますが、これに木へんを加えた「枝」にもえだという意味があるのは周知のとおりです。

もともとさきにえだの意があった漢字は「支」です。つまり「支」は「枝」のもとの漢字ということになります。

しかし先にも書いたように、「支」はとささえるという意味を表す漢字です。えだという意味とは別にこのささえるという意味が「支」に付与されていきました。

これによってえだの意味を独立させ、新たにこれを表す漢字として作られたのが「枝」というわけなのです。


ですが、「支」におけるえだの意は現在でも多く使われています。


例えば「肢(シ)」です。
「肢」は見た通り「月(にくづき)」と「支」を組み合わせた漢字です。「月」は人間の身体を表しています。

「支流」が本流から枝分かれした川であるのと同じように、「肢」は本体(身体)から枝分かれした部分を表しており、手や足のことを指しています
特に「上肢」は手や腕を、「下肢」は足をいい、手足のことを総称して「四肢」という風に言われているのです。

 

このように「肢」は「支」の枝分かれという意味を用いています。

 

現在では木のえだといえば「枝」を表していますが、枝分かれするの意味に関しては「支」を用いるのが一般的であるいえます。

 

「肢」は人間の手足を枝に見立てたってことだね

そういうこと! おもしろいよね

 

また枝分かれという意味から、「支」には分ける、分かれるという意味があります。

 

例えばお金を払うことを「支出」といいます。
これは自分の財産から分けてお金を出しているということです。

 

また、「分岐」の「岐」には「支」が使われています。

これは枝分かれした山道を表している漢字です。

 

このように「支」にはえだ枝分かれする、そして分けるという意味があり、この意味は現在でも一般的に用いられているのです。

 

「枝」のようにもとの漢字に木へんをつけて、同じ意味を表すために新しく作られた漢字としては「株」があります。是非チェックしてみてください。

まとめ

  • 「支」は4画の会意文字。
  • 「支」は「十」と「又」が組み合わさった漢字で手に枝を持っている様子を表している。
  • 「支」にはささえるという意味があり、現在では力添えなどの用いられ方もある。
  • 「枝」は「支」に木へんを加えて新たにえだを表す漢字として作られた。
  • 「支」は「本」の反対の意味としてえだや枝分かれの意を表している。この意味は「肢」や「岐」に用いられている。

 

「支」は結構連想が難しい意味が多いね

 

おわりに

ねこQuang Nguyen vinhによるPixabayからの画像

 

先にも書いていますが「支」は「枝」のもとの漢字です。

もとの漢字という言い方がわかりづらければ、「枝」のえだという意味は「支」からきている、ということになります。

ほかには「株」のもとの漢字は「朱」、「右」のもとの漢字は「又」などがあります。

 

このようにもともとその漢字にあった意味を独立させて別の漢字を作る例は、漢字を見ていくとしばしば現れます。

「枝」や「株」のようにわかりやすければよいですが、「右」のようにもとの漢字がわかりづらく難しいものがあります。

 

この難しさは漢字を好きで勉強している人にしかわからないものでしょう。

日常生活においてそのようなことは知っていても知っていなくても関係ないからです。

 

しかし、漢字は自分たちが普段から使っている文字です。

せっかく漢字文化圏に生まれたのだから、自分が使っている文字のなりたちや意味の由来くらいちゃんと知っておきたいと私は思います。

 

というわけで今回は「支」という漢字を見ていきました。

ここまで読んでいただきありがとうございます。ではまた次の漢字で!

 

そういえば「干支」ということばにも「支」が使われているけど、そもそも「干支」って何なの?

「干支」はね「十干(カン)十二支(シ)」の略なんだ。「干」同じ音の「幹」を、「支」はそのまま「枝」を表しているんだよ。

つまり「干支」は幹と枝ってことなんだ!

ほんとはそんなに簡単なことじゃないんだけれど、そういうことになるね。ほかにも疑問があったらどんどん訊いてね!

別表 学年別漢字配当表:文部科学省

「白川フォント」

 

 

 

 

 

当ブログに記載されている内容は、辞書や文献、資料などに遵守し学術的な配慮を十分にしているものですが、万が一誤りがあった場合は早急にご連絡ください。 確認を取ったうえで速やかに訂正させていただきます。 宜しくお願い致します。