【中学生の漢字】《析》:「析」は斧で木を伐り分ける様子! 解析の「析」って何?

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今回は豆知識とか難読漢字無いの?

無いんだなぁこれが

ひねり出してよ!

…「析」と「栃」って似てるよね!

 

とちの木

 

というわけで今回は「析」という漢字を見ていきます。

 

 

「析」ってどんな漢字?

おの

【析】セキ・さく・わかつ 『常用字解』第2版より

 

さて、今回見ていく「析」は8画の会意文字です。会意文字とは「東」や「森」のように複数の象形文字を組み合わせて作られた漢字のことを言います。なので「析」の場合は「木」と「斤」の2つの漢字が組み合わされているということになります。

 

このうち「斤(キン)」は斧の形を表す象形文字です。「断」や「斬」などモノを切る動作を表す漢字の部首として用いられることが多く、現在では大小さまざまな刃物やそれを使っている動作を示しています


「析」の場合部首は「斤」ではなく「木」が部首であるため、ここでは「木」が主体の漢字になります。つまり「析」は「木」に「斤」をあてている様子、すなわち斧で木を伐(き)っている動作を表している漢字といえるのです。

 

なりたち

「析」の古代文字(金文

 

「斤」の意味を踏まえたうえで「析」の古代文字を確認してみましょう。
少しわかりづらいですが、「斤」の部分は縦棒が柄を表しており、それを覆うように描かれている枠が斧の刃ということになります。このように見てみると現代の漢字である「斤」は意外にも古代文字の形に近いことがわかりますね。

古代文字いおける「斤」は、斧であることがわかってから見てみるとそのように見えてくる文字であるに違いありません。

 

その斧を木に向かって振り下ろしている動作が「析」ということになります。

 

書き

書き順はこのような形になります。注意すべきは5画目と6画目は続けて書かないということです。「斤」は意外にも4画の漢字なのです。

 

「析」も「斤」も中学校で習う漢字ですが、字形はそこまで難しくありません。「斤」が斧の形であることを覚えておけば、自然に覚えらると思います。
「木」に向かって「斤」を振り下ろす「析」はとても親切な漢字といえるでしょう。

 

 

 

「斤」にある斧ってものすごくデカいやつなのかな?

日本では木を切るときには手斧(チョウナ)という小さい斧を使っていたみたいだよ。だからこの場合ももしかしたら小さい斧がイメージされているかもしれないね

 

冒頭にもありますが「析」は栃木県の「栃」とは全く別の漢字です。
「栃」はその名の通りとちの木を表しており、日本で作られた独自の漢字なのです。「析」と非常に似ていますが、意味も構成も関係のない漢字になっています。ご注意を!

「木」を「斤」で伐っている漢字たち

おの

「析」が「木」に「斤」を振り下ろしていることはわかりました。
「析」をはじめとして、「斤」は木に対して振り下ろされることが多い漢字です。

ここではこの部分をもう少し掘り下げてみましょう。

 

例えば「薪」という漢字があります。「薪」は「艹(くさかんむり)」と「新」が組み合わされている漢字であるのはわかりますね。ですが「新」はさらに「辛」と「木」と「斤」で構成されている漢字なのです。

 

「辛」は現在ではからいつらいの意味で用いられることがほとんどですが、もともとは針を表すことでなりたった漢字です。この針を森に投げ、針が当たった木を斧で伐る動作が、すなわち「新」という漢字になります。針が当たった木で新しくモノを作ることから「新」にはあたらしいという意味があるのです

 

そして「薪」は「新」でモノを作った際の余った部分を指し、火祭りや神事の際にたきぎとして使用されたものをいいます。これにより「薪」はまきやたきぎ、あるいは柴などの意味に用いられていきました。

つまり「薪」は斧を始めさまざまな刃物で細かく伐られた木を表しているといえるのです。

 

また、切ることを意味する漢字として「斬」という字があります。

「斬」は「車」と「斤」が組み合わさった漢字ですが、車を斧で斬っているわけではありません。現在では「斬首」や「斬殺」のように人に対して用いられることが多いこの漢字は、もともと車を作るための部品を、材料から切っていく動作を表すものでした。

「斬」に「車」がついている理由はそこにあります。

 

もちろん斧のみで車を作ったとは考えられません。

「斬」にある「斤」はこの場合、大小さまざまな刃物の意で使われているのではないかと思います。斧では細かい部品は作れませんから、鋸(のこぎり)などの刃物も指していると考えられるでしょう。

 

ちなみに「斬」によって部品が作られていく順序を表している漢字を「漸」、それにかかる時間を「暫」といいます。

 

このように「斤」は木を伐っている動作を表している場面に多く使われている漢字です。

もちろん「断」などその限りではない漢字もあります。しかしそれらの漢字も斧など大きな刃物を使用している点は同じであるため、意味を連結して覚えていくのが効果的といえるでしょう。

 

「斤」って何となく見慣れない漢字だったけれどこれで完璧だな!

 

分析解析わかつ「析」

しくみ

「新」はあたらしい木を、「斬」は車の部品をそれぞれ伐っている漢字でした。

 

一方「析」は「析(さ)く」の訓があることからもわかる通り、斧で木やモノを切り裂く行為を表している漢字です。つまり、何か特定のものを伐っているのではなく「析」は切る動作そのものを指しているといえるのです。

 

「析」における木やモノを切り裂くという意味は「析薪(セキシン)」のように薪を作るために木を伐ることを指したり、「析骸(セキガイ)」のように骨を断つ動作を指すことばに使われています。


こうしてモノを切ることを表していた「析」はその後、モノを細かくわかつ、つまり分けていくという意味で用いられるようになりました。


例えば薪を作るときに、木や丸太を縦にたたき割っているところを想像してみてください。薪割りの様子です。斧を振りかざし丸太の真ん中をたたけば、2つに分かれて飛んでいきます。つまり1つ丸太が2つ薪に分かれているということです。

簡単に言えばこのように木やモノをどんどんと細かいパーツにしてしていく動作がわかつということになります

 

モノをバラバラに細かく分けていくと、その内側がどうなっているのかということや何でできているのかということがわかるようになっていきます。機械ならどんな部品でできているのかということや、電気経路などその仕組みが見えてくるようになります。上にある写真では、時計を分解することで歯車やネジ、ナットのようなものが確認できるようになっていますね。

 

このような様子から「析」にあるわかつの意味は、複雑なものの構造や仕組みを理解するという意味である「解析」やモノを分解してその性質や要素を分けてく「分析」などにあるようにモノを分解し明らかにするという形で用いられるようになりました。

 

「解析」や「分析」といえば、スーパーコンピュータで計算したり、科学実験で解き明かしたりすることばかり想像してしまいますが、ここで使われている「析」はもともと木を伐る動作が転じてできた意味だったといえるのです。

 

つまり「析」は「分」や「解」とほとんど同じ意味だったってこと?

その通り! その3つの漢字は「分析」「解析」「分解」とどれも熟語が成り立つよね。これは同じ意味の漢字が連続している熟語ということなんだ

 

まとめ

  • 「析」は8画の会意文字。
  • 「斤」は斧を表していることから「析」は斧で木を伐る動作を表している。
  • 「新」は新しい木を「斬」は車の部品を伐っている。これらの「斤」は「析」と同じく木を伐る動作を指している。
  • 「析」には木を伐る動作から転じてわかつという意味がある。
  • 「析」にあるわかつの意味はモノを分解して明らかにするという形で「分析」や「解析」に用いられている。

 

「分析」と「解析」のところは少しややこしいから復習しないと!

 

おわりに

ねこ

「析」は先にも書いたように「解析」や「分析」でよく見かける漢字です。しかしおそらく多くの方は「析」の意味を正しく認識していないでしょう。
もしかしたら「解析」と「分析」に同じ漢字が使われていることなど、言われてみなければ意識もしなかった、という方もいるかもしれません。

 

ここで重要なのは知っていたか知らなかったか、ということではなく、意識したことがあるか無いかということです。

 

漢字やことばに限らず、人間は自分たちの身の回りにあるものや当たり前とされていることはその意識から外されていきます。人間の脳は効率的に動いているため変化がないものや常識であるものは意識しない傾向にあるからです。


なので「あの熟語とこの熟語には同じあの漢字が使われているなぁ」などと思うこともあまりありません。

 

例えば「桔梗」と「心筋梗塞」はどうでしょう。同じ「梗」が使われていますね。「桔梗」も「心筋梗塞」も普段テレビや新聞でよく見かける並びです。しかしこの類似点は意外と気づきにくいのではないかと思います。

ですが気づきにくいからこそ、こういった類似を発見した時の衝撃や印象は根強く記憶に刻まれるのだとも言えます。

 

人間の意識から外れたものは盲点です。多くの漢字や熟語も皆さんの盲点に入っているかもしれません。

 

この盲点を探してみるのは案外面白いものです。「分析」や「解析」に「析」があるといった簡単なものでもよいですし、「薔薇(バラ)」には「微」が入っているなというものでもよいでしょう。もしかしたら漢字に深く触れられるよい機会になるかもしれませんよ。

 

というわけで今回は「析」という漢字を見ていきました。ここまで読んでいただきありがとうございます。ではまた次の漢字で!

 

「分析」と「解析」に同じ「析」があることくらいわかってるよ!

それを言われたら…

続きの漢字

「析」と同じく木に斧を振り下ろしている動作を表す漢字には「枚」があります。是非続きの記事としてご覧ください。

 


参考資料

「白川フォント」

 

 

 

 

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